獅子舞は「かぶる」もの?
獅子舞はかぶって使うもの、かぶって踊るもの。
そのように認識されている方は多いようです。
かぶる(被る)とは「頭や顔を覆うように身に付ける」という意味です。
言葉通りに捉えれば間違いではありません。
獅子舞を道具として捉えるならば。
獅子舞を「被り物ですよね」と言う方もいます。
厳密に言えば間違ってはいないと思いますが、
世間一般で言われる被り物とは、かなり性質が違うと思われます。
私たちは「獅子に入る」と言います。
人間が主体で獅子を操るのではなく、
獅子が主体で、人間が入らせていただく。
そのような認識です。
獅子という存在があって、そこに人間が入ることで
獅子という存在に命を吹き込むのです。
そして踊られるのが獅子舞です。
獅子が舞うから「獅子舞」です。
獅子舞は踊りません。
踊るのは、舞うのは獅子です。
ときどき「獅子舞踊り」と言われることがありますが
「腹痛が痛い」と言うようなもので
日本語としてはおかしいのです。
この文の冒頭に「獅子舞はかぶって使う」と記しましたが、
そもそもこの文もおかしい。
獅子舞という言葉が広範な意味を持ちすぎて
変だなぁと思うことが多々あります。
でも、一般の方がそのように言うことが多く、
検索のキーワードとしても「獅子」「獅子頭」より「獅子舞」が使われるため、
あえてここではそう記しました。
正しくは「獅子頭を被る」です。
意味が通じればあまり細かく言う気もないのですが、
そういうものだとご理解いただけると嬉しいです。
よくある話としては、
出演者名、役名として「獅子舞さん」と呼ばれることは
非常によくあります。
控室の入り口に「獅子舞様」と書かれていたり。
私たちは獅子舞をしますが、獅子舞という名前ではありません(苦笑)
まぁ、話は通じるので細かいことは置いておきます。