「ちょっとでいいから太鼓教えてくれないかな」
「さわりだけでいいから、踊り教えて」

こういう問い合わせ、けっこう多いです。

その裏にある思いはひとつ。

ちょっとならタダで教えてくれるでしょ。

冗談はよしこさん。

ふるっ!

ともあれ。

---- ここまではタダでOK ----

---- ここからは有料です ----

そんな線引き、ありません。

そもそも
「ちょっと」って何でしょうか。

「ちょっと」でいい、というのは
こちらへの気遣いのつもりなんでしょうけどね。

タダが前提だから
「がっつりじゃ悪い」
「申し訳ないので、ちょっとでいい」

それが「ちょっと」の理由。

「ちょっと」なら気軽に教えてくれると思っているのはなぜ?

先日、とある保育園さんからの問い合わせで、
こんなことがありました。

「子どもたちが夏祭りで踊りに取り組みます」
「その構成を考えてくれませんか?」

そして、こう付け加えられました。

「指導は私たち(=園の先生方)でやるので、来なくていいです」

そこで、予算についてお聞きしました。

「えっ!来てもらわないのに、お金がかかるのですか?」

「メールかFAXで送ってもらえればいいですよ」

よくよく聞いてみると
「わざわざ来てもらったら申し訳ないから」
自分たちでやるのだと、先方は強調していました。

でも、そもそもの部分に大きなカンチガイがあるのです。

最初からお金払う気ないでしょ。
プロに依頼してると思ってないでしょ。

そのことを先方にお伝えし、お断りをしました。

その時に、こんなことを言われました。

「ちょっとのことじゃないんですか?」

ちょっとなら無料でやってくれると
思っているのでしょうね。

逆にお聞きしたいです。

なんで?

なんでプロが無償で惜しみなく、
持っているものを提供してくれると
思うのでしょうか?

無料のお試しの類って、必ず裏がありますよね。
リストが欲しいとか、見込み客がほしいとか。

先行投資です。

好き好んで、タダで提供する人がいるはずありません。

「ちょっと」のこわさ

「ちょっと」の体験で分かった気になられても困ります。

ちょっとかじっただけなのに
「でんちゃんに教えてもらった」なんて言われたら
もっと困ります。

聞きかじってできることなんて、
たかが知れてます。

「あいつの教えてることは、そんなもんなのね」
評判を落とすことになりかねません。

自分にメリットがなくて、
デメリットの山。

勘弁して下さい。

プロが知識や経験を提供すれば、無償ではすみません

たとえば、保育園でよくやっている事業に
「育児相談」があります。

保育園や幼稚園に通っていない地域のお子さんに
遊ぶ場所や機会を提供したり、
親御さんの子育てのお悩み相談をしたりするのです。

保育園にしてみれば、
参加者に無償で機会を提供しているかもしれません。

でも先生方は給料をもらっていますよね。
勤務時間内ですよね。

保育園は、自治体から助成金をもらったりしていますよね。

あるいは、次年度以降の「見込み客」獲得のための
アピールだと思っていますよね。

無料にできるには、ちゃんと裏付けがあるのです。

でも、ぼくには固定給なんてありません。

ひとつひとつのお仕事に対して
出演料や指導料をいただくのです。

無料で依頼する、とは
その報酬を奪うということなんですよ。

経験の蓄積があってこそのプロ活動です

ぼくは、自分で踊ったり演奏したり、
人様にご指導することを生業としています。

それらのお仕事は、ぼく自身が身体を動かす表現活動です。
いわゆる「肉体労働」でもあります。

それでは、身体を動かさない=技術を示さなければ
「仕事」にはならないのでしょうか。

ぼくはこの仕事に携わって、今年で19年目になりました。
独立してからは6年目です。

自分で言うのもなんですが、
自力で6年食ってきたことに誇りを持っています。

パトロンもいないし助成金ももらったことないです。

今はやりのクラウドファウンディングにも
頼ったことはありません。

ぼくの頭の中にあるものは、
19年間に培った出演・指導・構成・演出・制作の経験。
6年間、フリーランスの演者として食うために必死こいた経験。

あらゆる経験が蓄積されて、今があります。

蓄積したものを対象に合わせて最適化して
言語化し、肉体化できるから
「プロ」として活動できるのです。

積み重ねた技術だけでなく、
アイデアを提供する時点で
「プロとしての仕事」が発生していると考えています。

プロの経験と時間を提供すれば、対価は発生します

ぼくがここでお伝えしたいのは

「プロの経験と時間を提供してほしい」と依頼する時点で
対価が発生するということです。

たとえば、弁護士さんに法律相談すれば相談料が発生します。

自治体が企画する無料の〇〇相談は
行く人の費用負担は0円でも、自治体側が費用負担しています。

司法書士だろうと保健師だろうと、
実務担当者を依頼するには費用がかかります。

ところが、ぼくらのような業種は、
その専門性を理解してもらえず、
軽~く話を持ち込まれることは実に多いのです。

落語家さんに
「30秒で終わるくらいの内容でいいから小噺一本タダで作って」と言って
受けてくれると思いますか?

作曲家さんに
「1分で終わる曲でいいから、楽曲タダで作って」と言って
受けてくれると思いますか?

プロ野球選手に
「150kmで投げられるコツを少しでいいから教えて」と言って
受けてくれると思いますか?

ちょっとのことでしょ?
なんて思わないで下さいね。

あなたは、その「ちょっと」を考えられないんでしょ?
だからプロに聞きたいんでしょ?

あなたが聞きたいと思っていることを獲得するために
プロと呼ばれる人たちがどれだけの時間を費やしているか。

ということなのです。

情報は無料ではありません

今のご時世、知りたいことはネットで検索かければ
すぐに分かります。

でもgoogleさんやyahooさんは
ボランティア団体ではありませんよね。

ちゃんと利益を得るためのシステムを作り上げています。

ぼくは検索サイトではありません。

情報を無償で提供しているように見せかけて
広告収入を自動的に得られるような
合理的なシステムを作っていません。

「ちょっと」のアイデアを出すために
「経験」と「技量」と「時間」を掛け合わせているのです。

異論反論のある方とは、一生交わることはないでしょう

考え方は人それぞれです。

「それくらいのことでケチケチするなよ」と思う方も
いるかもしれません。

「お金に汚い、うるさい」と思う方もいるかもしれません。

異論反論、思うのは自由です。

でも、このことに異論のある方とは
一生交わることはないと思っています。

きっと、ぼくのお客様にはならないでしょう。

同業または近い職種の方であれば、
まず競合することもないでしょう。

近い関係になり得ない人に何と思われようが、
知ったことではありません。

言いたいように言ってください。

ぼくはプロの演者として声を上げます。

ぼくは自分の時間を安売りする気はありません。
まして、タダであげる気はもっとありません。

ぼくが提供する時間は
知識×経験×実績×技術×人脈 の上に成り立っています。

お金に換算できない価値が
ぼくには宿っています。
ですから、かんたんに「ちょうだい」って言わないでくださいね。
言われてもあげませんけど。

タダで依頼を受けることということは

うちの子どもたちは
「ぱぱ、今日どこ行ったの?何したの?」

毎日聞いてきます。

タダでやれと言うことは
「この子たちの生活費をよこせ」
と言ってることと同じなんですよ。